JSSGS 学会賞(功労賞)
日本スポーツとジェンダー学会では、永年にわたって本学会の運営や発展に著しく貢献し、さらにスポーツとジェンダーに関わる学術研究あるいは実践に顕著な功績を残した本学会会員を表彰するための「功労賞」を設けています。
【2022年度受賞者】
田原淳子(国士舘大学)
<選考理由>
(1)本学会の運営や発展への著しい貢献
本学会の前身である「日本スポーツとジェンダー研究会」(2002年6月発足)の準備委員として、発足の準備から組織の基盤づくりという重責を担われた。本学会設立以降、現在に至るまで通算18年(第1〜4期、5期、7期)、理事を務められ、その間、研究委員長、国際交流委員長という重要な役割を担い、本学会の学術団体としての体裁と内容を整え、発展させることに尽力された。第10回記念大会では基調講演の講師にIOC女性スポーツ委員会委員グードゥルン・ドルテッパー氏(ベルリン自由大学教授)を招き、本学会員に国際的な学術交流の機会を提供するだけでなく、本学会の国際的評価を高めることにも貢献された。
(2)スポーツとジェンダーにかかわる学術研究あるいは実践への顕著な貢献
①スポーツ倫理学及びスポーツ史を専門とし、とりわけオリンピック・ムーブメントとジェンダーに力点をおいた研究を多数発表されている。スポーツとジェンダーに関する代表的な国内の著作である『目で見る女性スポーツ白書』(大修館書店、2001)には編著者として、『スポーツ・ジェンダー学への招待』(明石書店、2004)と『よくわかるスポーツとジェンダー』(ミネルヴァ書房、2018)には共同執筆者として貢献されている。
②ジェンダー平等のスポーツ文化を目指す国際的な宣言「ブライトン+ヘルシンキ2014宣言」や国際憲章「体育・身体活動・スポーツに関する国際憲章」を和訳し、それらを日本に紹介され、スポーツとジェンダー研究の前進に寄与されている。2021年には、田原氏の長年取り組んできたオリンピック歴史研究及びオリンピズム・オリンピックの普及・教育活動が国際オリンピック史家協会に認められ、ヴィラケラス賞を受賞されている。これは來田氏とともに日本人初の受賞である。
③日本学術会議連携会員(2006年〜現在)、女性科学研究者の環境改善に関する懇親会役員(2008年〜現在)、公益財団法人日本オリンピック委員会女性スポーツ専門部会員(2011年〜現在)、ウィメン・スポーツ・インターナショナル諮問委員(2019年〜現在)等を務められ、スポーツにおける女性の地位向上のための活動等に積極的に取り組まれ、実践的な貢献を続けられている。
【2020年度受賞者】
熊安貴美江(大阪府立大学)
<選考理由>
(1)本学会の運営や発展への著しい貢献
本学会の前身である「日本スポーツとジェンダー研究会」(2002年6月発足)の初代事務局長として、飯田貴子初代会長と共に発足の準備から組織の基盤づくりという重責を担われた。また第3期以降現在に至るまで通算18年にわたって理事を務められ、その間3つの委員会の委員長という重要な役職を担い、本学会の学術団体としての体裁と内容を整え、発展させることに尽力された。
(2)スポーツとジェンダーにかかわる学術研究あるいは実践への顕著な貢献
① ジェンダー研究を専門とし、主としてスポーツの場におけるセクシュアル・ハラスメントや暴力に関する先駆的研究を多数発表されている。これらの研究は、本学会のみならず、国内外の様々な学会や研究機関において発表されたものである。
② スポーツとジェンダー研究の事典的集大成ともいえる『よくわかるスポーツとジェンダー』(ミネルヴァ書房, 2018年)の共編者である。同書の編集における貢献が評価され、日本スポーツとジェンダー学会賞(論文賞)を受賞された。
③ IOC医事委員会専門部会「スポーツにおけるセクシュアル・ハラスメントと性的虐待」声明文作成、大阪府を初めとする自治体や教育機関における委員、スポーツとジェンダーに関わる講習・講演講師などを数多く務められた。
掛水通子(東京女子体育大学)
<選考理由>
(1)学会の運営や発展への著しい貢献
本学会の前身である「日本スポーツとジェンダー研究会」(2002年6月発足)の発起人であり、創設以来の会員である。第4期に監事を務められたあと、第5期の会長に就任し、会長退任後、現在まで監事を務めるなど、本学会の組織の基盤づくり、運営に多大な尽力をつくされた。会長在職中の2016年にはJSSGS第15回記念大会の実行委員長を務められ、会場を本務校である東京女子体育大学で引き受け、会員の学術的交流の場を設けることにも寄与された。
(2)スポーツとジェンダーにかかわる学術研究あるいは実践への顕著な貢献
① 体育・スポーツ史研究を専門とし、主として女子体育教師に関する歴史的研究の成果を蓄積し、その成果は、明治期から現代に至る、日本における女子体育教師史の全体像を体系的に描き出すものであり、他に類のない歴史的知見をもたらした。それらは、体育・スポーツに関わるジェンダー視点での国内に関する歴史研究において、「女子体育教師史」という一分野の成立に寄与している。
② 原著論文・研究資料・科学研究費助成金研究の成果等、数多くの研究成果を残しているが、その集大成ともいえる著書『日本における女子体育教師史研究』(大空社, 2018年)をまとめられている。また東京体育学研究第6号掲載論文(2015年)により東京体育学会から学会賞(2015年7月)を、本学会研究誌第14号掲載論文(2016年)により日本スポーツとジェンダー学会から学会賞(論文賞、2017年7月)を授与されている。
【2018年度受賞者】
井谷惠子(京都教育大学)
<選考理由>
(1)本学会の運営や発展への著しい貢献
本学会の前身である「日本スポーツとジェンダー研究会」(2002年6月発足)の初代理事長として、飯田貴子初代会長と共に発足の準備から組織の基盤づくりという重責を担われた。2005年学会発足後も引き続き第2期理事長を、さらに第3期、第4期の6年間は会長を務められ、その後も現在に至るまで理事として本学会の学術団体としての体裁と内容を整え、発展させることに尽力された。
(2)スポーツとジェンダーにかかわる学術研究あるいは実践への顕著な貢献
①本学会の研究誌「スポーツとジェンダー研究」への発表を含め、多くの編著書及び論文を通じて、ジェンダー平等(Gender Equality)の視点から、実証的、多角的に問題点を明らかにし、その改善策を提示するなど極めて大きな足跡を残された。
②日本学術会議特任連携委員(2005年12月~2006年11月)、および同23期、24期連携会員(2014年10月~2020年9月)として、近接領域の研究者と連携し、委員会活動等を通してスポーツの分野からジェンダー研究に貢献された。
【2016年度受賞者】
丹羽劭昭(奈良女子大学名誉教授)
飯田貴子(帝塚山学院大学)