JSSGS 学会賞(論文賞)
日本スポーツとジェンダー学会では、スポーツとジェンダーに関する研究の発展を図り、 本会会員の優れた研究成果を表彰するために「学会賞」を設けています。この賞はスポーツとジェンダーに関する研究分野の業績(出版物、論文、報告書、学位 論文〔修士・博士〕等)に授与されます。
【2025年度受賞作】
加藤凌(2024)『ジェンダーの視点からみた男女共習体育授業が 抱える課題に関する研究−中学校保健体育教師の意識と抱いている理念に焦点をあてて−』東京学芸大学大学院 連合学校教育学研究科 健康・スポーツ系教育講座 博士論文(224頁)
〈選考理由〉
受賞作は、「誰もが性別やセクシュアリティに関する差別や抑圧を被ることなく、自由に運動やスポーツに関わることができる社会を実現していく」という理念を根底に置きつつ、「日本の男女共習体育授業をめぐる現状を、中学校保健体育教師に焦点をあてながら検討する」ことを目指した論文である。より具体的には、「男女共習体育授業」という古典的にも感じられるテーマについて、広く渉猟し、読み込んできた先行研究の示している成果と限界を踏まえ、「体育教師が、男女共習体育授業に対してどういった意識で向き合っており、いかなる理念を抱いているのかを明らかにする」ことを目的とし、現役の教員に対するアンケート調査を素材として考察を進めている。
一連の流れは非常に明快で、文章もいささか繰り返しが過ぎるきらいはあるものの、端的にまとめられ、研究論文として高度なレベルにあるものと言える。研究手法についても、サンプルの偏りや調査結果の分析に深化の余地はあるものの、同様に十分なレベルに達していると言える。
何より本論文は、「男女共習体育授業」古くて新しいテーマに重要な視点をもたらしたという点において、スポーツとジェンダー研究の深化という視点から、大きく評価されるべきであろう。深い考察と豊富なアンケート調査に基づいたこの論考は、多くの研究者が引用するだけでなく、実践の裏付けになる論文として、「男女共習体育授業」のあり方を模索している多くの現場の教員にも参照される論文となるだろう。
【2023年度受賞作】
井谷惠子(京都教育大学)・三上純(大阪大学大学院)・関めぐみ(甲南大学)・井谷聡子(関西大学)「カリキュラムの多層性からみた「体育嫌い」のジェンダー・ポリティクス」スポーツとジェンダー研究第20巻、6-19頁、2022年
三上純(大阪大学大学院)・井谷惠子(京都教育大学)・関めぐみ(甲南大学)・井谷聡子(関西大学)「体育におけるヘゲモニックな男性性の構築:「体育嫌い」の男性の声から」スポーツとジェンダー研究第20巻、20-35頁、2022年
【2021年度受賞作】
井谷聡子(関西大学)「〈体育会系女子〉のポリティクス:身体・ジェンダー・セクシュアリティ」(258頁)、2021年、関西大学出版部
水野英莉(流通科学大学)「ただ波に乗る Just Surf サーフィンのエスノグラフィー」(189頁)、2020年、晃洋書房
【2019年度受賞作】
飯田貴子(帝塚山学院大学名誉教授)、熊安貴美江(大阪府立大学)、來田享子(中京大学)「よくわかるスポーツとジェンダー」(213頁)、2018年、ミネルヴァ書房.
【2017年度受賞作】
関めぐみ(大阪府立大学大学院)「スポーツ組織におけるハラスメント問題の社会学的考察-男子大学運動部の『女子マネージャー』に着目して-」、大阪府立大学人間社会学研究科に提出された博士論文(171頁).
掛水通子(東京女子体育大学)「近代スポーツ史における女性の地位-戦前における女子体育教師の出現に関するジェンダーの観点からの考察-」、スポーツとジェンダー研究Vol.14、43−55頁.
【2015年度受賞作】
木村華織(東海学園大学)「日本の女性スポーツ黎明期における女子水泳の組織化─日本水上競技連盟と日本女子水上競技連盟の組織統一に着目して─」スポーツとジェンダー研究第13巻、39-55頁、2015年
小石原美保(国士舘大学)「1920-30年代の少女向け雑誌における『スポーツ少女』の表象とジェンダー規範」スポーツとジェンダー研究第12巻、4-18頁、2014年
【2013年度受賞作】
合場敬子(明治学院大学)「女子プロレスラーの身体とジェンダー―規範的『女らしさ』を超えて ―」明石書店、2013年
井谷聡子著「<新>植民地主義社会におけるオリンピックとプライドハウス」スポ ーツとジェンダー研究第10巻、4-15頁、2012年
【2011年度受賞作】
松宮智生(国士舘大学大学院)「総合格闘技の女子用ルールに関する一考察―『危険』を理由に禁止される行為の違いに注目して―」スポーツとジェンダー研究8巻、35-47頁、2010年
水野英莉(岐阜医療科学大学)「ライフスタイル・スポーツとジェンダー―日本・アメリカ・オーストラリアにおけるサーフィン選手の経験と女性間の差異―」スポーツとジェンダー研究8巻、4-17頁、2010年
