日 時: 2006年11月19日(日) 16:30〜18:30 会 場: キャンパスプラザ京都 第4講義室 http://www.consortium.or.jp/ テーマ: 体育における政策、パフォーマティビティ、説明責任
―体育カリキュラムと政策―
“P/policy, Performativity and Accountability in Physical Education:
Politics and the Curriculum of Physical Education”報告者: :John Evans(ジョン・エバンス)氏
ラフバラ大学スポーツ・運動科学部教授、教育社会学博士英国ラフバラ大学スポーツ・運動科学部教授のジョン・エバンス氏を招き、2006年11月19日夕刻、キャンパスプラザ京都において、「体育における政策、パフォーマティビティ、説明責任―体育カリキュラムと政策―」と題する共催講演会を開いた。京都体育学会、京都教育大学教育実践総合センターとの共催であったので、研究者、学生、教師など多様な領域・職域から50名程度の参加者があった。1時間あまりの講演の後、活発な意見交換が行われ、予定の2時間をかなり過ぎるまで延長された。講演の概要は以下のとおりであった。
<講演概要>
イングランドにおける近年の教育政策は、ナショナルカリキュラムの設定、学校評価、数値目標の設定など、目に見える成果を強調し、パフォーマティブな学校文化を促進している。競争、比較、説明責任を重視する傾向は、体育カリキュラムだけではない。健康政策と連動して、無意識のうちに生徒の身体や健康にまでパフォーマティブな成果を要求することにつながり、生徒の摂食障害の原因にもなっている。<講演会設定の趣旨>
わが国では、次の学習指導要領の改訂に向けて検討が始まっている。そこでは、体育教育のアカウンタビリティとしてのミニマムの到達基準などに関心が向けられているが、学習内容として、運動領域をどのように編成するか、そこで身につけるべき学力とは何かという基本的問題についての議論を避けて通ることができない。
学習指導要領が徐々に拘束力を弱め、地方の教育行政や学校、教師に教育計画や内容の策定が委ねられようとしている現在、体育科教育に関わる研究者がカリキュラム策定の理論を構築することはきわめて重要なことである。残念ながら、中央集権的な教育制度を持ち、学習指導要領が教育内容の基準となっているわが国では、カリキュラム編成の理論についての研究はきわめて貧弱である。
今回の講演では、カリキュラム編成の理論構築のための第一段階として、これまでの体育カリキュラムがどのような政治的意図によって作成されてきたか、教育改革の進行とともに、体育カリキュラムとポリティクスに関する現在の問題点や課題はどのようなものなのかについて発表いただく。